死の先に待っていた新たな世界
第21話


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 まず結果から言おう。
 今回の戦いは、俺達の圧勝で終わった。
 レコン・キスタの軍勢は敷き詰められた地雷に為すすべもなく、引き上げる羽目になったのだ。
 結果、こちらは一切の攻撃を受けずに敵を退けることに成功したのだ。
 メイジだけなら空を飛んで地雷原を超えてくることも可能だっただろう。
 だが、メイジだけでアルビオン・トリスティン連合軍を討つには心もとない数になるのだ。
 彼らは甚大な被害を受けたものの賢明にも引き上げる決断が早かった。
 
 撤退したレコン・キスタの報復行動は素早かった。
 レティバーミン第一要塞での戦いからおおよそ、二週間。
 ほとんど撤退してからすぐに来た形になる。
 こちらも黙って待っていたわけではなく既知のとおり地雷原をいくつか作っておいたのだ。
 地雷と言う卑怯な戦法のおかげとは言え、戦いにおいて三倍の戦力差は皆無だった。
 第一地雷原はレティバーミン第一要塞から十キロ離れた森の中、第二地雷原はそれを避けて街道を通るのを見越して街道に、第三地雷原はレティバーミン第一要塞から一キロ手間の森と街道に少し。
 埋めた飛翔弾の数は、残っていた予備の飛翔弾三千個を第一地雷原に、残りは四千個を通常の手投げ弾を改造して急仕上げで四千個作って埋めたのだ。
 実際に使用された地雷原は第二地雷原まで。
 予想通り森から進軍してきたレコン・キスタだが、第一地雷原に嵌った。
 予想だにもしない攻撃に混乱が生じてここで一個連隊が犠牲になった。
 状況を把握したのか混乱を収めると残った部隊が街道に出て進軍する。
 第二地雷原にまんまと嵌ってしまったのだ。
 しかし彼らは賢明にも深入りするのは危険と判断し撤退したのである。
 ハルケギニアの人間たちにとってはあまりに予想外な戦法だったのだ。
 俺とウェールズは要塞の監視塔から双眼鏡でアルビオンが撤退する様を見ていた。
「これ程まで、有効だとは……。
 向こうが船を使ってこなかったのが良かった」
「実は、船を使ってくることを念頭に無かったんだけどね」
 そう、実は船を使う戦法をすっかり忘れていたのだ。
 向こうは船を使えば簡単に落とせただろうと思うのだが、どうもお互い地上戦を好んでしまったようだ。
「何、気にしないでくれ。僕とてその戦法を完全に見落としてたよ。
 どうも最近は、向こうも船を温存していたみたいだったからね」
「そうかい? さて、これからウェールズはどうするんだい?」
「レコン・キスタに停戦条約を結ばせようと思ってるよ」
 現在、双方の戦力は大幅にダウンをしている。
 このまま戦えば完全に泥沼だろう。
 まあ、俺はそれでも勝つことは出来ると思っている。
 ただし、被害は甚大になるのは避けられないが。
 だからウェールズの考えは賛成だ。
「しかし、どうやって停戦を? 向こうはまだ国じゃないし、何か案であるのかい?」
「これは父上と相談しないとならないんだけどね。
 彼らを一つの国として認めようと思う。
 レコン・キスタ、元を正せばパブリック・ユニオンだ。
 つまり共和制の国として独立を承認をすることにすれば、少なくとも元パブリック・ユニオンの連中は納得が行くんじゃないか?
 アルビオンと友好条約も一緒に結ぶ形にして、ある程度向こうの用件を聞こうと思っている」
 ウェールズの言葉に俺は驚いた。
 王族が彼らを認めるというのだ。
 彼の父親がどう対応するかはわからない。
 それでも、ウェールズの考え方はこのまま戦争を続けるよりかは現実的だ。
「随分と寛大じゃないか」
「このまま戦争を続けても、死ぬ人間が多いだけだよ。
 僕達としてもこれはとても不本意な形だ。
 もっとも、アンにもここが停戦をするいい機会になると言われてね」
 そういうウェールズはやや照れた感じだった。
 アンリエッタは、ウェールズに前線に立ってもらいたくない。
 それだけに泣き落とされたのかもしれない。
 停戦条約を結んでもらって戦争を止めさせた方が、余程いいのだから。
 それに今はトリスティンとアルビオンは同盟を組んでいる。
 立場的にはトリスティンに助けてもらったのだ。わがままを言える立場でもない。
「ウェールズ。首筋に接吻の後があるんだけど?」
「な! ど、どこだ!」
 俺の言葉に慌てるウェールズ。
 予想はしていたんだがこの慌てっぷりは本物だ。
 恋する乙女の勢いは凄いからな。
「冗談だよ。やっぱり、だいぶアンリエッタに迫られたんだね」
 俺はやや苦笑しながら言う。
 ウェールズはほっと胸を撫で下ろしつつ、若干責める様にように言った。
「アレス君、頼むからそういうのは止めてくれ。
 部下がいないからいいが、聞かれでもしたら大変だ。
 はあー、君の言うとおりだよ。
 アンリエッタに泣き付かれてね……。
 とてもじゃないが、戦争を続ける気にはなれなかったよ」
「いいじゃないか。アンリエッタの行動力からすれば、ウェールズが落ちない方が不思議だからね」
「参ったな」
「男は、女の涙に弱いからね」
「君でもか?」
「僕の場合は余計にだよ」
 俺はルイズに甘いからな。
 ルイズが独立できるようにと思いながら、結局依存させてしまった。
 何回か泣かせてしまったし。
 そういったものが顔に出ていたのだろう。
 ウェールズが苦笑しながら言った。
「君も、苦労しているみたいだね」
「いや、まあね……」
 そう言った時だった。
 人の気配を感じて、俺は後ろを振り向く。
 ルイズとアンリエッタが、笑顔で立っていた。
 笑顔が、理由は分からないが少し怖いのはたぶん気のせいだと思いたい。
「お互い、苦労は尽き無さそうだ」
「そうだね」
 俺とウェールズは、理由は分からないがお互いのパートナーに責められそうな雰囲気に苦笑するのだった。
 
 レコン・キスタへ停戦の提案はウェールズが国王と相談するとすぐに行われた。
 期間は一年。だが、ウェールズが言っていた方針で行くなら、すぐにでも無期限になるはずだ。
 レコン・キスタもこの停戦に異論を唱えることも無く、受け入れた。
 停戦をレコンキスタが受け入れたのに伴い、アンリエッタ連隊とウェールズ率いる部隊は、ニューカッスル城に引き上げた。
 俺達は、一応の目的を果たし帰国するため、ウェールズはこれからの方針の検討のためだ。
 帰還したアンリエッタ連隊と、ウェールズの部隊はニューカッスルの街の人に歓声を持って迎い入れてもらった。
 ニューカッスルの街の人たちが城に続く道に集まっている。
 今まで、敗戦が続いていたのだ。
 勝利して帰ってくれば、騒ぎになるのも仕方が無い。
「凄いな」
 サイトが周りの状況を見て言う。
 それもそうだろう。
 これはもう戦勝パレードとでも言いたくなるような規模なのだ。
 商人達も、ここぞとばかりに露店を開いている。
「確かに凄いね。こういうパレードって僕も体験したこと無くてさ」
 厳密にはパレードじゃないんだが、これはもうパレードと言っても過言じゃない。
「アレスもなのか? 何か、アレスって何でも知ってるみたいだから」
「前世はただの民間人だよ? スポーツ選手辺りだったら体験してるだろうけど」
「それも、そうか。にしても、こっちに来てからありえない体験ばかりしてるな」
「貴重な体験だね」
「戦争はもう勘弁だけどな。
 アレスにもらった剣、人が斬れないとは言っても鈍器で殴った感覚ってやつがまだ残ってんだよ」
 サイトはそう言って自分の右手を見る。
 ガンダールヴの力があるとは言え基本的には平民と同じだ。
 メイジなら魔法を使うため人を傷つける、もしくは殺しても感覚と言うのは残らない。
 残ってせいぜい罪悪感だ。
 だけど、サイトは違う。
 斬れない剣でも、人間を殴っているんだ。
 どうしても、手に感覚は残ってしまう。
「サイト君、郷に入らば郷に従えだよ。これからもこういう事があっておかしくないんだ。
 ただ、もしそれで戦いたくないなら、無理に来る必要は無いから。
 最終的には、使い魔の契約を解除して、送り返す予定なんだしね」
「あ、ああ。でも、それって悪くないか?」
 そう言ってサイトは俺の隣を歩くルイズの方を見る。
「ルイズも僕の意見で、いいよね?」
「ええ。この世界の平民だったら違うけど、サイトは他所の世界の住民でしょ?
 それなのに付き合え、なんてわたしは言えないわ」
「ってこと」
「そうは言ってもなー」
 ルイズが軽く言うが、サイトは生真面目なのか空を仰いで言う。
「ちょっと、マスターとルイズがいいって言ってるのよ? それで、どうして悩むのよ?」
 大人しく聞いていたノルンが、俺の肩からサイトの肩に移って抗議する。
 抗議するところじゃない気もするんだけどな。
「だってさ、俺を元の世界に戻そうとしてくれる人が危険な目に遭うのに、俺だけ怖いから行きませんって言えないぜ?」
「だったら、悩まないで行けばいいじゃない。付き合いだって思って」
「ノルン。付き合いで戦争に行くって言うのは、ちょっと……」
「マスター、マスターがはっきり言ってもサイトが悩むから言うの!」
 ノルンの言いたいことも分かる。
 義理と人情の話なのだ。
 自分を良くしてくれる人が戦争に行くのだから、恩を返すためにも付いていく。
 今回がそんな感じだったのだ。
 だが、実際に戦争へ赴けばそこは戦場。生きるか、死ぬか。
 それだけに付き合いで戦争に行くって言うのは、いささか軽すぎる気がするのだ。
「ノルンの言うとおりの部分もあるな。まあ、しばらくはそんな自体はないと思いたいしそれまでに考えておくわ」
 サイトはそういうと、あとは何でもないように振舞う。
 こういうところはサイトの強みだ。
 きっかけがあれば、切り替えが早いのだ。
「そう言えば、これでわたし達って帰れるのよね?」
「ああ。これで帰れるよ。
 まだ後処理とかがあるだろうから、数日後くらいになるだろうけどね」
 まあ、船に荷物を載せる作業も丸一日以上は掛かる。
 あとは形式的な部隊解散もやるだろう。
 最後に、共に戦ったもの同士の宴も多少はあるはずだ。
「久しぶりの学院になるのね。みんなどうしてるかしら?」
「きっと元気にやってるさ」
 ギーシュが他の女の子に声を掛けてモンモランシーを怒らせたり、モンモランシーも内職で精を出したりしているのだろう。
「サイトは、シエスタに早く会いたいところなんじゃないかい?」
「な、なんでそこでシエスタが出て来るだよ!」
 シエスタの名前を出すとサイトが慌てだす。
 顔を赤くしながら言っても説得力はないと思うんだが。
「いいじゃない。サイトも素敵なガールフレンドが出来て」
「だ、だからまだ俺達はそんな関係じゃ……」
 ノルンにからかわれてタジタジのサイト。
 案外、この二人も気が合いそうだ。
「アレス」
 ルイズに呼ばれて俺は振り向く。
 隣を歩くルイズは、なぜか笑顔で俺を見ていた。
「なんだい?」
「ううん。呼んでみたかっただけ」
 俺の腕に自分の腕を絡ませて言う。
「早く本当に平和な日が来るといいわね」
「そうだね」
 ルイズの言葉に頷きながら、俺は空を見上げた。
 青空ではなかった。
 見上げた空模様は、これからの道がまだまだ険しいことを暗示するような、そんな空だった。
 ニューカッスル城に戻って二日が経った。
 その日、極秘で伝えたいことがあるから、来てほしい。
 俺はアンリエッタからお呼びが掛かっていた。
 ノルンも同席は許されず、俺だけだ。
 まあ、ノルンには後で話せばいいことだが。
 俺が行った先は、ニューカッスル城の談話室の一つである。
 軽くノックをすると、俺は断りを入れながら入った。
「アレスです。失礼します」
 中に入ると、中央にテーブルがあり、そのテーブルに四つの椅子がある。
 奥が大窓に、赤いシルクのカーテン。壁には若干の装飾が施されていた。
 アンリエッタとヴァリエール公爵、父さんが椅子に座って待っていた。
「良く来てくれたわ。そこに座って」
 アンリエッタが笑顔で、空いている椅子を指し示した。
 俺は勧められるまま、椅子を引くと座る。
「アレス、お前に来てもらったのはある機関をお前に立ち上げて欲しいためだ」
 俺が座るのを確認して、そう切り出したのはヴァリエール公爵だった。
「ある機関?」
「ええ。概要はまだ詰めている最中なのだけど、あなたにやってもらいたいの」
「ちなみにどんな機関ですか?」
「それは私が言おう」
 父さんが代表して俺に説明を始める。
 魔法に寄らない技術機関、非魔法研究開発機関を作って欲しいと言う事だった。
 概要は詰めている最中だが、要は今回俺が披露したように魔法以外での兵器の開発、またそれを用いた戦術の考案が主らしい。
 また工業、農業においても魔法を頼らないもので生産性を上げたいとも言うのだ。
 俺の場違いな知識とも言える知識が皮肉にも戦争を通して、非魔法化を考えるきっかけになったらしい。
「一応尋ねたいのですが、何故非魔法化する必要があるのでしょうか?」
 これに答えたのはアンリエッタだった。
「一番の理由は戦力の向上です。
 今回、アレスの案はほとんど魔法を用いない戦法が多かったのは事実の通り。
 数の上で上回るレコン・キスタを奇抜なアイディアで、撃退しました。
 これらから言える事は、魔法に頼り切った戦法ではなく、より知的な戦法が単純戦力を覆すということです。
 またあなたは工業においても製鉄の技術を披露しています。
 これらの技術が高まれば、農業も活性化し、国内は潤います。
 魔法に頼らない社会作りの意味もふくめてあなたに頼みたいのです」
 魔法に頼ることは、メイジに頼ること。
 メイジからの脱却と言う案自体は評価出来る。
 しかし、この機関の目的に戦争と言う暗部のためというのもあるのだ。それは少々心苦しいものがあった。
 また兵器開発を行うこと自体、国内であってもリスクがある。
 俺が作ったものはまだメイジを脅かすまでには至っていない。
 研究を続ければ、いずれマシンガンのようなものだって開発は出来てしまうだろう。
 魔法は確かに強力だ。
 しかし、詠唱に時間が掛かるのも事実。
 それを覆されれば、身内さえ敵になり得る。
「開発が進めば、平民の反乱も予想できますが」
「今回のレコン・キスタのことで学んだことがあります。
 それは力での支配では近いうちに国は滅びるということです。
 分かり合い、共に生きる道を貴族、平民に拘らず作るのがこれからの国家に必要なことだと思うのです」
「貴族の地位が脅かされますが?」
 俺は父さんとヴァリエール公爵を見て言った。
 アンリエッタの考えはとても魅力的なものだ。
 だが、同時に権威にすがる貴族は当然反対するだろう。
 また、平民もここぞとばかりに貴族を貶めることもあるかもしれない。
 その危険性を考えての判断なのか?
 この疑問を父さんとヴァリエール公爵に投げかけた。
 答えはある意味で予想通り。
 そして、意外とも言える言葉だった。
「それで地位が落ちるなら、その貴族に価値は無い」
「そうだ。これからトリスティンは民のための政をしなければならないのだ。今回のアルビオンで我々が学ぶべきところはそこだ」
「父さん、ヴァリエール公爵……」
 アンリエッタ、ヴァリエール公爵、父さん。
 この三人は国でもかなり地位の高い三人だ。
 三人がこういう考えに至っているなら、俺は反対する必要はない。
「そういう事ならわかりました。引き受けます」
「ありがとう。アレス。
 知があり、またそれを正しい方向で導くことが出来るのはわたしが知る限り、アレスしかいないわ。
 詳しいことはヴァリエール公爵とあなたの父君から行くと思うから」
「わかりました」
 話が終わると、ヴァリエール公爵、父さんが退席する。
 俺も部屋を出ようとすると、アンリエッタに呼び止められた。
「アレスはちょっと待って」
 俺はその言葉に、足を止める。
 父さん達は、気にせずそのまま部屋を出て行く。
 もしかしたら、ここから先の話も二人は知っているのかも知れない。
「なんだい? アン」
「まずは、今回のことお礼を言わせて欲しいの」
「? 僕は何かしたかな?」
「あなたのおかげで、アルビオン・トリスティンの連合軍は勝利できたわ。それに、ウェールズ様も無事に帰還できた。これはアレスのおかげじゃない」
 俺の手を握ってやや熱く語るアンリエッタ。
 確かに、俺のおかげといえばおかげかも知れないが、まあそういう風の流れだったと思えば何も俺のおかげとは限らない。
「僕はアドバイスをしただけだって、アンはそれに決断をして進軍をしたし、ウェールズだって僕のアドバイスを受け入れてくれたに過ぎない。
 僕のおかげと言うには少々大げさすぎると思うんだけど?」
「謙遜は美徳じゃないわよ? そのアドバイスがあったおかげで、こうしてわたしも無事にいるのよ」
「それは否定しないよ。それで、話はお礼ってだけじゃないみたいだね?」
「分かっていて聞くのは野暮ってものよ。
 アレス、あなたをわたし直属の文官付参謀に任命します。
 行政、軍事の両方において、わたしと同じ指揮権を発動できるわ」
 行政、軍事の両方。
 つまり、相談役と言ってもいい立場になるのだろう。
 でも、相談役ならこんな権限はいらない。何故こんな権限を俺につけるのだ?
「この権限、危険すぎる気がするんだけど?」
「レコン・キスタはトリスティンにも入り込んでるわ。
 それはアレスも知ってるでしょ? わたしはトリスタニアから簡単には動けないわ。
 だから、アレスが代わりに動いて欲しいの」
 レコン・キスタと繋がっている人間は少なからず国内にいると見て間違いない。
 俺は信じたくないが、ワルド子爵も候補に上がっていた。
 アルビオンとレコンキスタが停戦状態のうちに、トリスティンでの勢力拡大とあってはいざ再戦時にはこちらが不利になる。
「国内の状況を探れっていいたいのかな?」
「そういうことよ。そうするにはあなたにそれくらいの権限がないと動けないわ」
「僕は一応、学生なんだけどね?」
 これは一応の牽制だが、多分意味はなさない。
 俺の予想通り、アンリエッタは笑顔でこう俺に言った。
「必要な時に動いて貰えればいいわ。単位とかはわたしで何とか出来るもの」
「やっぱり、おてんば娘だね。君は」
 俺が額に手を当てながら言うと、おかしそうにアンリエッタは言う。
「あなたのおかげよ」
 俺がいろいろとアドバイスを言ったのがまずかったらしい。
 今回のことでだいぶ大胆になっている。
 勢いのあるアンリエッタを止める術を俺は知らなかった。
 数日後、新たな課題や今後のアルビオンなど様々気になる事を残しつつ俺達は一先ずトリスティンへ帰国の時を迎えたのだった。